アウディがスポーツ自転車発表。その構成は?

2015年05月15日 08:00

先日、Audiよりこんなニュースリリースが出ました。”アウディ、超軽量レーシングバイクAudi Sport Racing Bikeを日本初公開”だそうです。

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Cyclistより

このblogでも自動車関連メーカーと自転車との関わりに付いては何度も記事にして来ました。これらにも様々なアプローチがありますが、ひとつが 流行りの自転車との親和性をアピールすること。最近ではDAIHATSU WAKEが車内に自転車を簡単に積むことができるとアピールしていました。一昔前のゴルフバッグが何個詰めます・・・と発想は同じですね。

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Specialized

もうひとつは自動車メーカーの技術を自転車に応用し相乗効果を狙う事。このblog記事「自動車と自転車の新しくて古い関係」でも書きましたがジャガーと共同開発したサスペンションシステムを導入したピナレロのロードバイクが今年デビューしました。古くはミニ、モールトン自転車に採用されたラバーコーンサスペンションを連想させる構成です。カーボンの技術でフェラーリとコルナゴが協力関係にありましたし、マクラーレンとスペシャライズドは空力などについて技術協力をしていたこともありました。

もうひとつ、そもそも自転車メーカーから出発した自動車メーカーもありますね。それについてはこの記事で触れています。

このように自動車メーカーと自転車の関わり方っていろいろあるので、今回のアウディはどうなのかな?って所から調べてみるのが大事なのですが自転車にあまり詳しくない方にはわかりにくいだろうと思います。とあるSNSに書き込まれたコメントを拝見すると、恐らくホームセンターの自転車売り場に売っているハマーやフェラーリ、ルノーなどの名前がついたライセンス自転車のぼったくり高級バージョンだと決めつけている方も多いのかもしれません。さてどうなんでしょう?

フレームはアウディと同じくドイツのカーボンスポーツ社製と発表されています。自転車好きならもうココでピンと来るのですが、プロライダーがスポンサー外でも自分でお金を払って使うLightWeightブランドホイールを製作している会社です。LightWeightは昨年遂にフレームもリリースしました。それがこのAudi Sports Racing Bikeのベースだと思います。金型からAudiの為に設計したら大変ですからね。形状もそっくりですし。

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このフレームに使用されるのは日本の東レ製T1000カーボンでこれはAudi R18 e-tron quattroのコクピット採用素材と同じとアピールしています。コクピット・・・構造体部分じゃないのかよとは思いますが関連は何とかありました。
わざわざコクピットと同じにする為にT1000を採用したわけではなく、ベースとなったフレームにT1000は最初から使われていたんでしょうね。カーボンレイアップから変更したとなったら大変な事になりますから。ちなみにほんのちょっとでもT1000を使えばT1000を使っていると書けます。高級高弾性カーボン100パーセントが良いのではなく、適材適所にいろいろな種類のカーボンを使い、重ねる枚数や向きまでこだわって設計=剛性としなり、振動吸収性などを高次元でバランスしているのが良いフレームです。

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自転車の構成部品で高価なのがホイールです。そのホイールはCarbon Sports製Lightweight (ライトウエイト) ブランドMEILENSTEIN(マイルシュタイン)Cモデルとあります。Cモデルですからクリンチャーホイールでしょうね。先ほども書きましたがプロが自費で購入してでも使いたいブランドです。同ブランドの中ではトップグレードではありませんがトップクラスのホイールである事は間違いありません。

変速システムはシマノのトップグレードDURA-ACEの電動コンポーネントです。従来のワイヤー引きで行なうコントロールではなくスイッチとモーターで駆動します。他のメーカーの追随を許さない現在究極のコンポーネントです。

サドルはイタリアの有名サドルメーカーで既存モデルのベースを使い、表皮をアウディのシートと同じものを変更しているそうです。ここまで日独伊三国同盟的パーツ構成。

それ以外について詳細はわかりませんが、恐らくトップクラスの性能を持つカーボンパーツで固められている事でしょう。
これをVWグループ参加のAUDIが管理してオリジナルのグラフィック、シリアル番号が入れられて、どのようなカタチかわかりませんが、アフターも受けられるのでしょう。更に世界で50人しか手に入れることができないわけです。

Audi ultra meets Lightweight
ドイツ本国参考価格は17,500ユーロ(日本円換算約2,370,000円)
この価格をどう考えるか?ホームセンターで売っている自動車メーカーの名前がついたライセンス自転車と同じと考えると「アウディの名前を付けたボッタクリ自転車だ!」って言いたくなるのもわからないでもありません。ただ、その名前を付けたベースフレーム及び構成部品が元々世界で認められた一級品であるって事はお分りいただけましたか?ドイツが各界で世界に誇るダブルネームって言った方がわかりやすかったと思います。本国ではしっかりライトウェイトである事を公表してますからね。アウディジャパン(大手広告代理店)は若干濁した結果わかりにいくものになってしまいました。

Audi R18 TDI
Audi ultra Lightweight Technology

ちなみにベースのフレームとホイールとコンポーネントだけで単純計算180万くらいにはなりますからね。残り約50万で他のパーツを・・・って考えると妥当・・・いやブランド料考えればバーゲンプライスと考える人がいてもおかしくありません。自転車の事はよくわからない人にわかりやすく説明するなら、元々ベースの自転車がF1クラスなんです。わざわざアウディーブランドで購入したいかどうかは購入できるクラスで生きている人の価値観ですが、出自は間違いないしカッコイイし性能は折り紙付きだと思います。

結局ただ名前を付けただけなのか?って問題は・・・結構近いとは思いますが、先ほども書いたようにそのベース選択眼は確かだし一応関連性、ストーリーがあり、出来る範囲でブランドの色も出せててアリなんじゃないでしょうか。

そんな事よりも一番言いたかった事は文章の中にそれとなく入れておきました。要は一次ソースを見てから考えるようにしないとねって事です。

Jr


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