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2017年03月08日 08:00

先週のブログ記事でもちょっと書きましたが古いクルマ雑誌から面白い話を見つけました。有名な話なので知っている方も多いかと思いますが、当時の記事からどんな風に伝えられていたのかってのはまた面白いのではないかと思います。時は1970年、第2回となったJAF-GPにてちょっとした事件があったそうです。選手宣誓を行う予定だった生沢徹氏が起こした行動とは?

選手宣誓拒否事件
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【1970.07 CARグラフィックより抜粋】

まず今回のJAF-GPでどうしても取り上げざるをえない問題は、生沢の”選手宣誓拒否事件”である。ことの真相はこうだ。すなわち午後2時のGPスタートに先がけて午後1時から行われた首脳、来賓のあいさつの後(ドライバーが下にいて主催者側が台上にいるのも変な話だが)、JAFから生沢に参加ドライバーを代表して宣誓して欲しいと要請があった。列から一歩前に踏み出した生沢は、普通なら「スポーツマンシップにのっとって正々堂々と・・・」とやるところを

「この機会にJAFに申し上げたいことがある。外国人ドライバーがホテル代までオールギャランティーであるのに対し、われわれ日本人ドライバーはすべて自費参加である上に、参加料まで取られている。この差別待遇は納得できないので、宣誓を拒否する(大要)」

という抗議声明を一気に読み上げたのである。一瞬あっけにとられて静まり返ったグランドスタンドから、やがて拍手と喝采があがった。

【抜粋ここまで】


この行動を起こした生沢は、事前に日本人ドライバーに相談し、賛同を得ていたこと。これまでも抗議はしてきたし雑誌にも書いてきたが取り上げられなかったことからこの開会式を抗議の場としたとも語っています。

他のページを読んでみると、本場のヨーロッパにしたって有名な外国選手を呼ぶために、生沢自身も珍しい日本人ってことで重宝されたケースもあったそうです。しかし、スタートマネーや賞金の金額が日本と海外ではまるで違うので簡単に比較はできませんけどね。そんな事情がわかっていてもあえてこのような行動をとったのは常々、主催者であるJAFがモーターレースをスポーツではなく収入を得るための興行としてしか考えていないことに憤りを感じていたからだと書かれていました。

もちろん抗議されたJAF側にも「断固生沢を処分すべきだ」との強硬意見もあったようですが、個人的なエゴではない以上、そんなことをしても意味がないし、そんなことは十分生沢も覚悟しての行動であっただろう。当時、すでに四面楚歌のヨーロッパへ単身レース修行に打ち込みF3からF2へ進出した生沢が日本のモータースポーツシーンに失望落胆して去るにあたっての置き土産であったんじゃないかと言われていたようです。

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この記事の中に出てくる生沢徹氏もそうですが、これを伝えるCARグラフィックも様々な場面で疑問を呈していて戦っている感じがすごく伝わってきました。それを読者が雑誌を購読する事で支えていたって事でしょう。
現在、インターネットが普及して様々な情報が洪水のように無料で手に入るようになりました。でもその無料ってのは僕らが対価を払っているわけではなくて例えばモノを売りたいメーカーが広告費として支出していたりするわけですよね。そうやってお金を出している人にとって都合の良い記事が量産されていくわけ。いわゆる提灯記事ってやつです。それが全てではありませんが、ライターの書く行間を読み本当は何を伝えたいのか・・・そんな知性がより必要になったんじゃないかな。逆に無料で手に入るのが当たり前になった世代は、どんな風にこれらの情報を吟味するんだろう。

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古い雑誌から当時の空気感や緊張感を味わいながら、そんな事を考えてしまいました。

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追伸
今年、2017年は日本GP優勝 & 英国F3優勝 & ニュル500kmクラス優勝から50周年らしいので生沢徹イベントいろいろあるのかな。楽しみですね。
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