2011年06月21日 14:32

アンソニー・ホプキンズ扮するバート・マンローと魚からヒントを得て作った流線型ボディーを纏うインディアン
「世界最速のインディアン」スピード狂が夢を追いかける“ピュア”なロードムービー
ワルがひとりも出てこないことが、この主人公の男の夢を“ピュア”に感じさせている。なんて素敵なファンタジーだろうか。インディアンというバイクに人生を賭けたスピード狂の男が夢を追うロードムービーだ。ニュージーランド~ロサンゼルス~ユタ州ソルトフラッツまでの道すがら、主人公バート・モンローは数々の困った問題にぶつかるのだが、その都度誰かに助けられるか、独力で道を切り開く。プロット的に葛藤が引き起こされる原因となるのは、あくまで主人公の問題なのだ。年を食っていて身体にはガタがきているし、金もない。おまけにバイクのエンジンも“42歳”の骨董品なのだから。 であるからして、この映画に共感できるかどうかは、この男の夢を信じられるかだろう。人生を賭けても、絶対にゆずれない“好きなもの”がすでにある御仁は感動するはず。 40年以上にわたって、チューンアップを重ねる主人公を、アンソニー・ホプキンスが嬉々として演じている。世界最速のスピード記録をたたき出すことになる塩一面のスピードウェイ、ソルトフラッツに初めて立つときの、武者震いのような身ぶりに思わず涙が出た。すべてのイメージやユーモアが、掌編のようなファンタジーを祝福しているかのようだ。
(佐藤睦雄)(eiga.com)
偏屈な困った親父なのだが、「自分の旧式オートバイをどれだけ速く走らせることができるか?」ただただこれだけに人生を捧げた男の生き様には、周りを巻き込んでしまう力があるんですね。
実話を元にした「良くできたおとぎばなし」なのかな?と彼について書かれた本も読んでみました。それが「バート・マンロー スピードの神に恋した男
確かに映画はドラマチックに脚色した部分も多いのだと思いますが、大筋ではフィクションの方がもっとすごい事が起きていました。

photo by Michael Dawes
エンジンの開発における試行錯誤についても、ニュージーランドからアメリカのボンネビルに向かうまでの道中についても。そのうちの1つのトラブルを取り上げても普通の人間なら諦めてもおかしくない事態だったりするのですが、この爺さん(敬意を込めて)は軽口を叩いては次のトライを考えているのです。

Photo by X115
老体にムチを打ちながらスピードトライアルを続けるバート。「(1920年型インディアンを差して)こいつくらい若かったらよかったんだが」と40年落ちのバイクを引き合いに出して語る所なんか、かっこよすぎます!
ただ世界最高速度を叩き出すだけであれば、性能の良いマシンはいくらでも手に入れられたはず。それでも40年も前のオートバイに拘る所はクラシックカーを愛でる私たちには理解できますよね?「こいつじゃなきゃ意味がないんだ」ってね。
本の中にはドラッグスリックでお馴染みの「ミッキー・トンプソン」なんて名前も出てきたりして、1960年代後半のアメリカの匂いを感じることもできました。
印象的なエピソードをもう1つ。初めてアメリカ・ボンネビルへ向かう前にバイクをチューニングしてる時に仲間から「マシンをもっとキレイにしていかないのか?」と問われた際にバートはしばらく考えてからこう言ったそうです。
「それで速くなるのか?」

とにかくまだ未見であれば、梅雨の週末にでもビデオレンタルで借りてきて欲しい。いろいろ世知辛いニュースを目にする機会が多い昨今。たまには寄り道せずに、ただ夢を追いかける男のストーリーに没頭し、涙するのはいかがでしょうか?
Jr

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